投資をしているとよく耳にするセクター。株式市場で使われる分類のことですね。
有名なのが東証33業種で、建設業や小売業などといった数多たある銘柄を業種ごとに33のセクターで分類しています。
そんなセクターだけど、実はとっても重要。セクターを分けて投資することでリスクを減らせたり、セクター全体で見ることで市場の動きがわかりやすくなるんですよ!
そこで今回は、東証33業種が定める33のセクターをご紹介。セクター別で、特徴などを解説していきます。
目次
全33種!セクター別の特徴
それではいよいよここから、実際にセクター別の特徴を見ていきましょう。今回は東証33業種をもとに33セクターそれぞれ詳しく解説していきますよ。
1. 水産・農林業
証券コード1300~。大手種苗会社の株式会社サカタのタネや水産大手であるマルハニチロ株式会社、キノコの栽培で有名な株式会社雪国まいたけなどが名を連ねています。
普段あまり注目されることの少ないセクターですが、TPPや輸出の増加などにより注目を受ける可能性が高いでしょう。
2. 鉱業
証券コード1500~。この鉱業とは、石油開発などの権益を得て、原油の輸入などを手掛けることですね。
国際石油開発帝石株式会社や日鉄鉱業株式会社などが属しています。
そんなこのセクターでは、世界の景気に敏感なのが特徴。とくに中国の景気に敏感なんですよ。
3. 建設業
証券コード1700~。日本を代表するゼネコンの大成建設株式会社や、電気通信工事を手掛けるコムシスホールディングス株式会社などがあります。
そんな建設業だけど、景気に左右されやすいのが特徴。
たとえば景気が良いときはマンションや商業ビルなどさまざまな建設が増えるけど、景気が悪くなれば建設は減りますよね。これにより受注が増減してしまうので、影響を受けやすいんですよ。
4. 食料品
証券コード2000~。私たちの生活に密接にかかわってくるセクターであり、それだけに比較的安定しているのが特徴ですね。
具体的には、お菓子でおなじみの森永製菓株式会社や製パン大手の山崎製パン株式会社、加工食品に強みのプリマハム株式会社などが名を連ねています。
とはいえ食料品=安定と考えるのは要注意。今回のコロナ禍のように景気悪化で消費が落ち込むと影響を受ける可能性もあります。
とくに小型銘柄は大手と違って主力製品などに弱く、影響を受けやすいでしょう。
5. 繊維製品
証券コード3000~。紡績からアパレル銘柄まで幅広い企業が属しているセクターです。
大手アパレルの株式会社オンワードホールディングスや紡績で名の知れたシキボウ株式会などが名を連ねています。
そんな繊維製品セクターだけど、他業種に引っ張られやすいのが特徴。たとえばホテルなどに寝具を提供してる企業なら、ホテルの業績が悪くなると影響を受けてしまうんですね。
このため取引のある業種にも注意が必要でしょう。
6. パルプ・紙
証券コード3700~。日本を代表する製紙会社の日本製紙株式会社や紙袋を手掛けるスーパーバッグ株式会社などが属しているセクター。
そんなこのセクターの特徴は、景気がいいと業績も良くなること。基本的に大手製紙会社は段ボールなどの梱包材を手掛けていることが多いので、景気が悪く流通が滞ると業績に影響しやすいんですよね。
また近年のペーパーレス化なども、今後影響を受けてくる可能性が高いでしょう。
7. 化学
証券コード4000~。旭化成株式会社や住友化学株式会社など、誰もが知ってる有名企業が名を連ねる化学セクター。
基本的にはあまり変動が少ないセクターですが、注意したいのが原油価格です。一部の企業では原料に石油を使用しているので、原油価格に左右される可能性もあるんですよ。
もちろんすべてではないので、何を原料にしているか事前に知っておくと安心でしょう。
8. 医薬品
証券コード4000~。製薬大手の武田薬品工業株式会社や乳酸菌に強みのビオフェルミン製薬株式会社などが名を連ねています。
一般的に景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄といわれてますが、新薬発表や薬害発覚などがあった場合、変動する可能性大。
また開発費などが多くかかってしまった場合は業績が悪くなりますが、今後期待されるような開発であればあまり影響は受けないでしょう。
9. 石油・石炭製品
証券コード5000~。原油を生成してガソリンなどの石油製品を作る企業のセクターです。
出光興産株式会社やENEOSホールディングス株式会社などが属し、身近なセクターでもありますよね。
それだけに比較的安定しているとされていますが、将来的には脱炭素などの影響を受ける可能性もあるでしょう。
10. ゴム製品
証券コード5100~。ゴム製品っていうとイメージしにくいけど、タイヤでおなじみの株式会社ブリヂストンや、自動車部品などを手掛ける西川ゴム工業株式会社などが属しています。
このセクターでは原料の価格に影響を受けやすいのがポイント。また上記のように自動車関連の製品を取り扱う企業も多いので、自動車業界の影響も受けやすいでしょう。
11. ガラス・土石製品
証券コード5200~。セメントメーカーの太平洋セメント株式会社やガラス繊維を手掛ける日東紡績株式会社などが名を連ねています。
このセクターは製品や分野が多ジャンルなのが特徴。たとえばセメントや内外装用のタイルであれば建設業とも密接ですし、自動車用ガラスであれば自動車業界の影響も受けるでしょう。
そのためどんな製品を作っているのか、事前に知っておくことが大切です。
12. 鉄鋼
証券コード5400~。株式会社神戸製鋼所やJFEホールディングス株式会社などが名を連ねるセクターです。
この鉄鋼セクターの特徴は、中国の景気に影響を受けやすいこと。中国は鉄鋼業界で1位を獲得する強豪国のため、どうしても中国の景気に左右されやすくなってしまうんです。
また鉄鋼業の場合、メインとなる取引先の景気もチェック。自動車業界や建設業界など、取引先となる業界の影響も受けるので、事前に知っておくことが大切です。
13. 非鉄金属
証券コード5700~。三菱マテリアル株式会社や三井金属鉱業株式会社などが属しているセクターです。
特徴は、非鉄金属は多くの製品に使われてるってこと。なかでも代表的な銅はさまざまな製品に使われることから、景気を表す存在としても有名なんですよ。
それだけにこのセクターは景気の影響を受けやすいため、注意が必要です。
14. 金属製品
証券コード5900~。自動車ばねに強い中央発條株式会社や、住宅設備で有名な株式会社LIXILグループなどが名を連ねています。
このセクターでは、取り扱っている製品によってほかの業種の影響を受けやすいのが特徴。
たとえば自動車関連に製品なら自動車業界の影響を、建設資材などの製品なら建設業界の影響を受けやすいでしょう。
15. 機械
証券コード6000~。住友重機械工業株式会社や三浦工業株式会社などが名を連ねています。
このセクターの特徴は、機械受注統計に影響を受けること。これは内閣府が発表するもので、これにより株価が変動する可能性があるでしょう。
また海外へ輸出している企業も多くあるため、為替にも注意が必要です。
16. 電気機器
証券コード6500~。株式会社日立製作所や三菱電機株式会社、パナソニック株式会社などが属しているセクターです。
特徴はなんといっても、ジャンルが豊富なこと。電気機器と一口に言ってもその取扱いはさまざまなんですよ。
そのため半導体やOA機器、家電など、分野ごとにチェックするのが大切でしょう。
17. 輸送用機器
証券コード7000~。トヨタ自動車株式会社や川崎重工業株式会社などが名を連ねています。
そんなこのセクターの特徴は、景気の影響を受けやすいこと。
たとえば自動車などは、景気が悪くなると売れませんよね?それと同じで、景気が悪くなれば需要が減ってしまうんです。
18. 精密機器
証券コード7700~。東京計器株式会社やクボテック株式会社などが属しています。
このセクターでは、製品によってほかの業種の影響を受けやすいのが特徴。
たとえばガス会社に向けた製品ならガス業界の影響を、自動車関連への製品なら自動車業界の影響を受ける可能性があるでしょう。
19. その他製品
証券コード7800~。このセクターでは、さまざまなジャンルの企業が名を連ねているため、一概にセクターごとの判断がしにくいのが特徴です。
たとえば玩具でおなじみの株式会社バンダイナムコホールディングスもこのセクターですし、ネットプリントのプリントネット株式会社もこのセクター。
そのため企業ごとに取り扱っている製品やサービスを見比べる必要があるでしょう。
20. 電気・ガス業
証券コード9500~。東京電力ホールディングス株式会社や東京ガス株式会社など、私たちにとっても身近な企業が属しているセクターです。
そんなこのセクターでは、季節によって変動するのが特徴。たとえば暑い夏や寒い冬はエアコンの使用が増えるので、業績も良くなるんですよね。
また電気・ガス業では燃料を輸入しているので、燃料相場などにも注目するといいでしょう。
21. 陸運業
証券コード9000~。東日本旅客鉄道株式会社や株式会社日立物流などが名を連ねる陸運業。旅客鉄道がメインのものや物流がメインのものなどさまざまで、特徴も異なります。
まず鉄道関連は、比較的安定したディフェンシブ銘柄として有名。また外国人旅行者などのインバウンド需要が増えたり、景気が良く国内旅行が増えると株価も上がります。
対する物流は消費に左右されやすいのが特徴。消費が増えれば輸送も増えるので、株価も上がるでしょう。
22. 海運業
証券コード9100~。このセクターでは、船を利用した貨物の輸送やフェリーといった旅客などを手掛ける企業が属しています。
具体的には日本郵船株式会社や株式会社商船三井などがそうですね。
そんなこのセクターの特徴は、航路の問題に影響を受けること。たとえばテロや海賊といったリスクがあると影響を受けてしまうんですよね。
また今回の新型コロナウイルスのようなリスクがあると、国同士の往来が難しくなったりするので、注意が必要でしょう。
23. 空運業
証券コード9200~。日本航空株式会社やANAホールディングス株式会社などが属しており、いわずと知れた有名なセクターです。
特徴は燃料である原油価格に影響を受けること。また訪日外国人客などのインバウンド需要や、好景気による海外余光需要なども影響を受けるでしょう。
実際昨今のコロナ禍では国同士の往来が難しく、多大なる影響を受けているんですよ。
24. 倉庫・運輸関連業
証券コード9300~。三菱倉庫株式会社や株式会社住友倉庫などが名を連ねるセクターです。
特徴は、需要と供給によって影響を受けること。これは物流業などと同じですね。
またほかにも、実は倉庫関連銘柄では賃貸不動産の含み益が大きい銘柄があり、割安なのも注目ポイントとなっています。
25. 情報・通信業
証券コード9400~。KDDI株式会社やソフトバンク株式会社など、身近な企業が名を連ねるセクター。なくてはならない存在なので、あまり景気の影響は受けにくいのが特徴です。
ただし、たとえば新プランの発表や政府による携帯料金引き下げ要請など、こういった身近なニュースで影響を受ける可能性があります。
最新の動向をチェックしておくのが大切ですね。
26. 卸売業
証券コード8000~。卸売業とは、問屋なんて呼ばれるジャンルの企業ですね。小売業に商品を卸売りしている企業のことです。
具体的には三菱商事株式会社や株式会社山善などが属しています。
そんなこのセクターでは景気に左右されるのが特徴。消費が落ち込んで小売業が売れなくなれば、当然卸売業にも影響が出てしまうでしょう。
また近年では仲介を通さず直接買い付けて販売するルートなども増えているので、今後影響を受けるかもしれませんね。
27. 小売業
証券コード8000~。小売業は多くの銘柄が属しているセクター。株式会社ローソンや株式会社ファーストリテイリング、株式会社ビックカメラもこのセクターですね。
私たちの身近な存在である分、国内の景気に左右されやすいのが特徴。景気が悪くなると消費が落ち込みますから、業績も悪くなってしまうでしょう。
また企業によっては外国人旅行客をターゲットにしているインバウンド銘柄もあります。たとえば中国人の爆買いで話題の家電量販店などがそうですね。
こういった企業では、インバウンド需要によって業績が大きく変動することもあるんですよ。
28. 銀行業
証券コード8300~。株式会社ゆうちょ銀行や株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループなどが名を連ねているセクターです。
そんなこのセクターの特徴は、金融政策に影響を受けること。金融緩和されれば株価が上がり、金融危機などになれば株価は下がります。
また景気にも左右されやすいセクターであり、景気が良く金利が上がれば株価も上がるんですよ。
29. 証券、商品先物取引業
証券コード8600~。野村ホールディングス株式会社や株式会社大和証券グループ本社などが名を連ねています。
こちらは銀行業と同じように、金融政策の影響を受けやすいのが特徴。具体的には金融緩和になれば株価が上がり、金融危機になると株価は下がります。
30. 保険業
証券コード8700~。東京海上ホールディングス株式会社や第一生命ホールディングス株式会社などが属しています。
保険業は身近な存在なので、実際に利用してる人も多いんじゃないでしょうか。
そんなこのセクターですが、なかでも生命保険が長期金利の変動に影響を受けやすいです。金利が上がると生命保険銘柄が買われやすくなるんですよ。
31. その他金融業
証券コード8700~。その他金融っていうとちょっとわかりにくいけど、たとえばアコム株式会社などの消費者金融がそうですね。
銀行以外の消費者金融やローン、クレジットカードなどがこのセクターに含まれています。
こちらもまた金融政策の影響を受けやすいのが特徴です。
32. 不動産業
証券コード8800~。住友不動産株式会社や三菱地所株式会社などが属しているセクターです。
そんなこのセクターの特徴は、景気の影響を受けやすいこと。日本国内のみならず、世界の景気にも影響を受けてしまうんですよ。
金融政策によっても左右され、金利が下がれば株価が上がり、金利が上がる株価は下がる傾向にあります。
33. サービス業
証券コード9600~。身近な企業が多く属しているので、私たちの生活に身近なセクターですね。
クリーニング大手の株式会社白洋舍や、東京ドームの運営を行う株式会社東京ドーム、椿山荘でおなじみの藤田観光株式会社などが名を連ねています。
特徴としては景気に左右されやすいのがポイント。景気が悪化すると外出や消費が減りますから、影響を受けやすいでしょう。
またまれですが今回のコロナ禍のような状況でも、ダイレクトに影響を受けています。
セクターごとの特徴を覚えよう!
今回は東証33業種である33セクターについて、それぞれ詳しくご紹介してきました。どれも違った特性を持っていましたよね。
セクターごとの特徴を覚えることで、リスクを減らせたり市場の動きがわかりやすくなったり、投資の役に立つはずです。
ぜひみなさんもこの機会に、セクターの特徴を覚えて、今後の参考にしてみてくださいね。