コロナ禍の影響もあって上昇している金価格。新聞やネット上でも話題になることが多いですよね。
金は私たちにとって身近な存在だけに、「私の持ってるネックレスも高く売れるのかな?」なんて考えた人もいるんじゃないでしょうか。
そんななにかと話題な金価格だけど、実際どんな理由で変動するかって聞かれるとちょっとわかりにくいもの。なんとなくはわかっても、詳しく説明するのは難しいですよね。
そこでこの記事では、金価格の変動要因をご紹介。実際の値動きや関係性まで詳しく解説していきます。
目次
なにが原因?金価格の変動要因4つ
まずは一番気になる金価格の変動要因について。よく聞くものからちょっと聞きなれないものまで、ここでは大きく分けて4つの変動要因を解説していきます。
1. 現物の需給関係
まず最初は、金価格に影響する基本中の基本、需給関係です。みなさんご存じの通り、金には現物が存在します。当然現物取引ができるので、お金さえあれば金の延べ棒を買って自宅に保管しておくこともできちゃいます。
そんな金の現物ですが、流通は大きく分けてリサイクルされたものと金鉱山から採掘されたものの2つ。
まずリサイクルだけど、これは金歯や宝飾品、製品の部品などに使われてたものが金として市場に出回るってもの。たまに「使わない金製品買い取ります」「金のアクセサリー買い取ります」なんてうたい文句を見かけますが、こういった買い取り専門店と同じですね。
対する金鉱山は、鉱山で採掘されたものが金として市場に出回るもの。日本にもかつて金山があったけど、あれと同じです。
そしてこの出回る量が多ければ多いほど供給過多になり、金価格は下がる傾向に。反対に出回る量が少なければ需要超過となって、金価格は上がる傾向になります。
2. ドル円
続いてはドル円による変動。そもそも金はドルで取引されるのが一般的で、ドル安=金価格が上がる・ドル高=金価格が下さがると言われています。
なぜかっていうと、ドルが安くなると不安を感じで金を買う人が増え、反対にドルが高くなると株式などを買う人が増えるからです。
そしてこれは、ドルと円の相関関係と同じ。円とドルの場合はドルが安くなり円の価値が上がるドル安円高と、ドルが高くなり円の価値が下がるドル高円安があるけど、金の値動きと似てるんですね。
ちなみに円建てて金を買うとき、ドル安円高のときは金の価格が下がり、ドル高円安のときは金の価格が上がります。
わかりやすく小さい数字でたとえると、1g1ドルの金を円で買うとき、1ドル50円のドル安円高であれば金価格は実質50円。しかし1ドル150円のドル高円安の場合、金価格は実質150円になりますよね。
このことから、円建てで金を買う場合はドル安円高の方がお得に買えるってわけです。
3. インフレ
金価格の変動要因3つ目はインフレ。このインフレとはインフレーションの略で、簡単にいえば物価が上がり現金の価値が下がることです。
たとえば今まで1個500円だったケーキがインフレで1個1000円になったとしましょう。このとき500円物価が上昇するとともに、今まで500円で買えたものが買えなくなることで現金の価値が下がってますよね。
これがインフレです。当然実物資産である金価格も、物価と同じく上昇します。
またほかにも、価値の下がった現金から実物資産である金に乗り換えリスクを減らす、インフレヘッジってものも増加。結果としてインフレで金価格が上昇するだけじゃなく、インフレヘッジで買われることで上昇しがちなんですよ。
4. 地政学リスク
最後は地政学リスクによるもの。ちょっと聞きなれない言葉だけど、意外と身近なリスクでもあります。
そもそもこの地政学リスクっていうのは、簡単にいえば政治デモや軍事テロ、財政難といったその地域が抱えるリスクのこと。有名どころではアメリカの同時多発テロや、今世界中を苦しめる新型コロナウイルスなどなど。こういったリスクは不安感となって経済へも影響し、モノの価格や株価などが変動するんです。
そしてそんなときに脚光を浴びるのが金です。金はそのもの自体に価値があるため、資産を乗り換えようとする人が増えるんですよね。
たとえば財政難で国が破綻すれば債券はただの紙切れになるし、株価が急落すれば株券も意味を成しません。その点金は無価値になることはないので、地政学リスクが高まるにつれ金が買われ、金価格も上がるんです。
実際の値動きや関係性は?
続いては実際の値動きや関係性について。
ここでは「リスクオン/リスクオフ時の動き」「金と原油の関係」「金と金利との関係」の3つをピックアップし、それぞれどんな値動きをするのか、どんな関係性があるのかを解説していきます。
リスクオン/リスクオフ時の動き
最初はリスクオン/リスクオフ時の金価格の動きについて。とその前に、簡単にリスクオン/リスクオフについて解説します。
まずリスクオンとは、リターンを狙って攻めること。景気が良いと株式投資などに投資する人が増えます。
対するリスクオフとは、リスク回避のこと。つまり上でご紹介した地政学リスクなどが高まってくると、リスク回避しようとリスクオフ傾向になります。リスクが低い=リスクオフと勘違いしがちだけど、意味が違うので注意してくださいね。
そしてこのときの金価格の動きは、変動要因の項目でご紹介したのと同じです。リスクオン時は金が売られるので価格が下がり、リスクオフ時は安全な金の買いが増えるので価格が上がります。
金と原油の関係
一見すると関係ないような金と原油ですが、昔から重要な関係があるとされてきました。
それこそ、金と原油は相関関係にあるってこと。金が価格変動する要因はさっきご紹介した通りですが、実は原油も同じような理由で価格変動するんですね。
たとえばドル安になったときやテロや戦争などが起きて地政学リスクが上がったとき、インフレになったときなどなど。いずれも金とともに原油も上がっているんです。
これは金と同じく原油もコモディティだから。簡単にいえば、金と同じようになにかあったときに比較的安全だからってことですね。
とはいえ近年では原油価格が急落することもあり、相関関係も崩れてきているので、注意しましょう。
金と金利との関係
金価格の変動要因としてドルの話をしたけど、それだけに金価格とアメリカの金利にも関係があります。というのも一般的に、アメリカの金利が上がれば金価格が下がるっていわれてるんですよね。
これはなんでかっていうと、金利が上がるとドルの価値が上がるから。つまり金利が上がるとドル高になるからですね。ドル高であれば魅力の少ない金は手放されてしまうので、金価格が下がってしまうんです。
変動要因の項目でも書いた、ドル安=金価格が上がる・ドル高=金価格が下さがるってのとと同じですね。
つまり金利と金には、金利低下=金価格が上がる・金利上昇=金価格が下がるっていう関係性があるんですよ。
金価格は奥が深い!
今回は金価格の変動要因から、実際の値動きや関係性など詳しく解説してきました。「金が上がった!」なんてよく耳にするけど、価格が変動するにはいろんな要因があったんですね。
一見難しいように感じるけど、覚えてしまえば金価格の先読みも叶うはず。金への投資はもちろん「金のアクセサリーを売ろうかな?」ってときにも役立ちますよ。
ぜひみなさんもこの機会に、身近な金について学んでみてくださいね。