リーマンショックやサブプライムショック、チャイナショックなどなど、なにかとニュースや新聞で見聞きする株価の大暴落。そのひとつに、近年VIXショックっていうのがあるのを知ってますか?
なかなか聞きなれない言葉なので、馴染みが薄い人も多いと思いますが、実は投資家にとってとっても怖い事件だったんです!
そこでこの記事では、VIXの基本知識から、知らないと怖いVIXショックについてまで詳しくご紹介。しっかり覚えて、もしものときの備えを万全にしましょう!
そもそもVIXってなに?
なんだか聞きなれない言葉だけど、そもそもVIX(ヴィックス)って何なのでしょう?このVIXとは、正しくはVIX指数と呼ばれるもの。別名・恐怖指数とも言われていて、Volatility Index(ボラティリティ・インデックス)の略称です。
ちょっと難しいですが、ひと言で言うなら株価指数であるS&P500を対象に、米国のシカゴ・オプション取引所が算出しているオプション取引のボラティリティインデックスってことになります。
とはいえ、これだとさすがにわかりにくすぎますよね…。私も最初にこんな説明を読んだときは、まったく頭に入ってきませんでした(笑)
そこでこの説明をもっとよく理解するために、まずはさっき出てきた単語の意味から見ていきましょう。
S&P500
まず「S&P500」とは、アメリカの有名な株価指数のこと。日本では日経平均株価である日経225や東証株価指数であるTOPIXが有名ですが、これのアメリカ版ってことですね。
同じアメリカの株価指数でNYダウなどもありますが、違いは明確。
- 【S&P500】…500銘柄で構成。時価総額をもとに時価総額加重平均型方式で計算されています。東証株価指数と同じですね。
- 【NYダウ】…工業株30銘柄で構成。銘柄の株価を合計した数を銘柄数で割る、株価平均型方式で計算されています。こちらは日経平均株価と同じですね。
オプション取引
そして重要なのが、「オプション取引」について。これは一定のお金を払うことで、決められた期日までに決められた価格で商品を売買できる権利のことです。たとえば現在500円で売ってる商品があるとして、10日後までなら値上がり・値下がりに関係なく同じ500円で売り買いできますよっていう権利ですね。
またこのオプション取引には、権利を買うコール・オプションと権利を売るプット・オプションがあるのがポイント。以下で簡単に解説しているので、チェックしてみましょう。
- 【コール・オプション】…買う権利のこと。たとえば10日後に500円で商品を「買える権利」を100円で買ったとします。そして10日後に商品が1000円に上昇していれば相場より安く買えます。
- 【プット・オプション】…売る権利のこと。たとえば今持っている商品を10日後に500円で「売れる権利」を100円で買ったとします。そして10日後に商品が400円に下がっていれば、相場より高く売れます。
もちろんこれにはもっと決まりがあるんですが、ざっくり簡単に説明するとこんな感じです。つまり、株価が上がりそうなときはコール・オプションが、下がりそうなときはプット・オプションが増えるってわけですね。
ボラティリティ・インデックス
最後はVIX指数の名前の元でもある「ボラティリティ・インデックス」について。それぞれ訳していくと、ボラティリィには揮発性・落ち着きのない性質・移り気といった意味。インデックスには指数・指標といった意味があります。
簡単に直訳すると「落ち着きのない指数」などとなりますね。そのためボラティリティが高いというと、値動きが激しいって意味になるんです。
ここまで読んでもらえれば、最初に言った「株価指数であるS&P500を対象に、米国のシカゴ・オプション取引所が算出しているオプション取引のボラティリティインデックス」という意味がわかってくるはず。
株価の上下を予想してコール・オプションとプット・オプションが増えるオプション取引。そしてそんなオプション取引の落ち着きのない指数…。
つまりざっくり簡単にいうと、VIX指数はS&P500のオプション取引において投資家の心理を表したものなんです!具体的には、S&P500を対象としたオプション取引の30日分を加重平均して算出されているんですよ。
知らないと怖い!VIXショックとは?
さっきもお伝えした通り投資家の心理を表したVIX指数ですが、注目してほしいのがVIX指数は市場と逆相関の関係にあるってこと。もちろん絶対ではありませんが、投資家の不安や恐怖心が高まりVIX指数が上がると株価が下がる傾向があるんです。
これはVIX指数の上昇を見た投資家が、損しないために株を売却していった結果起こるもの。そしてこのVIX指数によって起こるショックが、VIXショックです。
簡単にいうと、かの有名なリーマンショックやチャイナショックなんかと同じもので、株価の大暴落のことですね。
とはいえリーマンショックやチャイナショックなどとは根本的な原因が違います。たとえばリーマンショックの場合、米国のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことが引き金ですが、VIXショックではVIX指数も原因のひとつとされてるんですよ。
ちなみにVIX指数は通常10~20とされ、20を超えると危険といわれていますが、リーマンショックのときは80超え、VIXショックのときは50超えまで上昇しました。
2018年2月に発生!過去のVIXショック
そんなVIXショックですが、過去に起きたのが2018年2月。直接的な引き金となったのは、アメリカの10年国債の年間利回り(米国債利回り)の急上昇といわれています。ちなみにこの米国債利回りは長期金利の指標にも使われるもので、米国債利回りが急上昇すれば株価は下落してしまうんですよね。
結果として、株価下落への不安でVIX指数が上昇。損を防ぐため短期間で株が売られました。
またこのとき、リスクに応じて資産配分を決めるリスク・パリティ戦略を取るファンドもVIX指数の上昇にともなって株の配分を削減。売りが増えることで、株価の大暴落を引きを超しました。
さまざまな要因こそあったものの、まさに投資家たちの不安感が株価に影響した出来事だったわけです。
これが過去に起きたVIXショックのあらましです。こういったVIXショックは今後も起こるっていう意見も多く、実際、不安材料によってVIXショックの再来となる可能性も十分あります。そのため急落への備えも投資家にとっては大切なんですよ。
VIXショックから学ぼう!
今回はVIX指数からVIXショックについてまで詳しくお伝えしてきました。VIXショックが自分の身に降りかかったらと思うと、ちょっと怖いですよね。
このような株価の大暴落は個人で防げるものではありませんが、だからこそ適切な知識と備えが大切。過去のVIXショックから学び、次に活かすことが投資をするうえで欠かせません。
「怖いからやらない」ではなく「次に起きるのはいつか」「起きたときのためどう備えるか」を考えながら、適切な投資を目指してくださいね。