利回り(金利)を表し、景気の指標としても重要なイールドカーブ。「逆イールド」や「フラット化」なんてワードを聞いたことがある人も多いんじゃないでしょうか。
とくに近年では新型コロナウイルスの影響から、逆イールドについて取り沙汰されることも多く、耳にする機会が増えました。
そんなイールドカーブだけど、初心者にとってはわかりにくいもの。「利回り(金利)ってなに?」「カーブってなんのこと?」なんて人もいると思います。実際私も最初は全くちんぷんかんぷんでした(笑)
そこでこの記事では、金利の基本からイールドカーブ、さらには気をつけたい逆イールドまで徹底解説していきます。
そもそも金利・利回りってなに?
イールドカーブや逆イールドを知るうえで欠かせないのが、金利。そこでまずはこの金利について、いったいどんなものか簡単解説していきます。知ってる人も多いかと思うけど、おさらいのつもりで見ていきましょう。
そもそも金利とは、元のお金に対して発生するお金の割合のこと。よく家定期預金するときや車のローンを組んだときに「金利○%」とかっていうけど、それと同じですね。
ちなみに金利にもいろんな種類があって、「金利」「利回り」「利息」などなど呼ばれ方が違うもの。そして名前によって意味もちょっとずつ異なるんですよ!
- 【金利】…お金を貸し借りしたとき、借主から貸主へ支払うお金の割合。元の金額に対して「○%」などといわれるもの。
- 【利回り】…投資なんかをするときに、一定期間で増えたお金の割合。たとえば100万円投資して1年後に110万円になったら、1年間の利回りは10%になります。
- 【利子】…金利と似てるけど、別物。割合ではなく、お金を貸し借りしたとき借主から貸主へ支払うお金のこと。基本的には金利の○%をもとに計算され、100万円借りたときの金利が10%なら、利子は10万円になります。
- 【利息】…お金を貸し借りしたとき、借主から貸主が受け取るお金。銀行に預金したときにつくのも利息です。
とはいえこれはほんの一部。大きく分けて金利っていうこともあれば、利子と利息をひっくるめて金利と表記したり、利息を利子と表記することも。もちろん、上記のような分類で使われるケースもあります。
そのためちょっとややこしいんだけど、元のお金に対して支払ったり貰ったりするお金、もしくはその割合ってイメージで覚えておいてください。
イールドカーブとは?
金利・利回りについてわかったら、いよいよイールドカーブについて。
このイールドカーブとは、利回り(金利)を表すグラフのこと。縦軸が利回り、横軸が債券なんかの満期までの期間(残存期間)を表しています。将来的な利回りを予測したり今後の経済を読むのに重要なポイントになるグラフなんですよ。
またイールドカーブにはそれぞれ大きく分けて4種類存在。「順イールド」「逆イールド」「フラット化」「スティープ化」の4つで、まずはそれぞれどんな状態なのかひとつずつ解説していきます。
順イールド
これはとっても一般的なもの。残存期間が長いほど利回りが高くなるって状態ですね。景気が正常なときであれば、だいたいがこの順イールドになります。
もっと具体的にたとえるなら、お金を借りて明日までの期間と期間5年では、当然期間5年のほうが金利は高いですよね。それと同じことが起きている状態です。
逆イールド
順イールドと対するのが、逆イールド。順イールドとは真逆のグラフで、右肩下がりになるのが特徴です。残存期間が長くなればなるほど利回りが低くなる状態ですね。
また順イールドが景気が正常なときであるのに対し、逆イールドは景気が悪くなると予測されたときに発生しがち。そのためこの逆イールドになったら、注意が必要なんですよ。
フラット化
フラット化とは、見ての通りグラフが水平で平ら(フラット)な状態。景気が良い期間から悪い期間への転換を迎えたときに発生しやすいものです。
簡単にいうと、景気が良くてもともと順イーグルだったものがちょっとずつ右肩下がりになり、逆イーグルに向かっていく途中ってことですね。
スティープ化
最後はスティープ化について。steepには急勾配・険しいって意味の言葉で、その名の通りカーブの傾斜が急になった状態です。フラット化の真逆の状態ですね。
これは今後経済が良くなりそうだと予測されたときに起こりやすいもの。見通しが明るいと、ちょっとずつこういった形になることが多いんですよ。
要注意?!逆イールドが危険なワケ
このようにいろんな種類のあるイールドカーブだけど、なかでも一番注意してほしいのが逆イールド!そこでここからはこの逆イールドについて「なぜ起きるのか」「どんな影響があるのか」など掘り下げながら、ご紹介していきます。
逆イールドはなぜ起きる?
さっきもちょっとご紹介したけど、逆イールドは景気が後退しそうなときになりやすいもの。これは逆にいうと、好景気のピークに発生しやすいってことです。
じゃあなんでこうなるかっていうと、投資家たちが先行きに不安を感じてるから。
そもそも景気っていうのは一般的に、良いときと悪いときを繰り返すものです。バブルはいずれはじけるし、不景気も一生は続かないでしょう。
そのため景気がピークに差し掛かると、「今度は下がるだろう」「気を付けよう」と投資家たちが比較的安全な長期国債なんかに資産を移し始めるんです。
結果として長期国債を買う人が増えると金利が下がるので、逆イールドが発生。好景気のピーク時に逆イールドが発生するのはこういうわけですね。
つまりひと言でいえば、逆イールドになったら景気が悪化するシグナルってことなんですよ。
逆イールドが与える影響
続いて逆イールドが発生すると具体的にどんな影響があるのか。やっぱり一番大きいのが、景気の後退・悪化です。
もちろん逆イールドになったからって、「明日景気が悪くなるよ!」ってわけじゃありません。1年、もしくは2年ほどの時を経て、ちょっとずつ株価が悪化し後退していくでしょう。
実際アメリカでもITバブルやリーマンショックが起こる前には逆イールドに。また新型コロナウイルスの影響を受け、投資家たちの不安感から2020年も逆イールドが発生しています。
未来のことは誰もわからないので「逆イールド=絶対危険」とは言い切れないけど、過去の経験を踏まえて注意しておくのが大切でしょう。
逆イールドに用心しよう!
今回はイールドカーブや逆イールドについて詳しく解説してきました。ただのグラフだけど、されどグラフ!景気の状態を表すからこそ、指標として注目する必要があります。
とくに逆イールドが発生したときは、要注意。過去の歴史から見ても逆イールドになると景気後退するケースがほとんどなので、しっかり観察して備えてくださいね。