PSR分析とは?PSR分析の計算方法から活用方法まで徹底解説!

ベンチャー企業なんかで多い赤字上場。赤字とはいえ今後のことを考えて「買いたい!」って思うことありますよね。とはいえ本当に買って大丈夫なのか、赤字企業だからこそ悩むものです。

そんなときこそ使いたいのが、PSR分析!これさえ覚えれば、赤字企業に投資するときの判断基準として役立つんですよ!

そこで今回は、このPSR分析について徹底解説。いったいどんなものなのか、どんなときに使うのかなど、詳しくご紹介していきます。

そもそもPSR分析とは

PSRとは、Price to Sales Ratioの頭文字をとったもの。日本では株価売上高倍率と呼ばれてます。これは「時価総額 ÷ 売上高=PSR」の式で計算され、売り上げに対して株価が割安かどうかを判断する基準になるんですよ

そしてこの数字が大きいほど株価は割高、小さいほど割安ってことに。具体的にはPSRが20倍になると割高だといわれてるんです。

とはいえこれだけだとちょっとわかりにくいので小さい数字で見てみましょう。たとえば時価総額1億円の企業があったとします。A社は売上高2000万円、B社は売上高1000万円です。

  • A社…1億円÷2000万円=5
  • B社…1億円÷1000万円=10

この場合A社のPSRは5倍、B社のPSRは10倍ですから、数字の小さいA社のほうが株価が割安だってことですね。

PSR分析の注意ポイント

ちなみにこのPSRには注意ポイントもあって、それこそ同業種間でしか参考にならないってこと。たとえば設備投資が必要な業種の場合、売り上げが大きくても利益率は低いものです。しかし売り上げが大きいぶん、割安に見えちゃうんですよね。

こういった業種による違いも大きいため、異なる業種間で比較してもあまり参考になりません。あくまで同じような業種間で比較するのがベストなんですよ。

そしてこれは利益率が違っても時価総額と売り上げが同じなら同じPSRになるってこと。計算式が同じだから当たり前だけど、場合によってはPSRだけだと役に立たないケースもあるんです。

そのためPSRにだけとらわれすぎず、広い目で検証することも大切でしょう。

どんなときにPSR分析は役立つの?

そんなPSR分析だけど、いったいどんな時に役立つのか。それこそ、赤字上場した企業の株を買うときです。

そもそも赤字上場とは、売り上げがあっても利益がでてない企業がそのままの状態で上場すること。とくに新興企業向けとされてる東証マザーズ市場では、こういった赤字上場も多いんですよ!

ベンチャー企業なんかでは売り上げはあるものの先行投資してるせいで利益がなかったりするので、よくあるケースですね。

とはいえ上場するくらいですから今後の将来性もあるし、赤字上場=絶対買っちゃダメってわけじゃありません。そこで判断基準として役立つのが、ここまでご紹介してきたPSR分析なんです。

このPSR分析であれば、株価の水準が割安か割高か一目瞭然。もっと簡単にいえば、類似の企業と比較したとき、その株がお買い得か否かがわかっちゃうってことですね

実際以下では、赤字上場で有名な同業種2社をピックアップ。上場当時のPSRと現在のどれくらいなのか、比較していきましょう。

具体例1:freee(フリー)

まず最初が、人気のクラウド会計を手掛けるfreee(フリー)。2019年12月17日に東証マザーズ市場に上場した企業で、帳簿付けや確定申告など使ったことがある人も多いかと思います。

そんなfreeeだけど、上場前の2019年6月期の売上高は約45億円。しかし開発費などの費用がかさみ、赤字上場したんです。

そこで当時のPSRを計算してみると、公開価格での時価総額が約930億円。PSRは時価総額 ÷ 売上高で計算しますから、約930億円÷約45億円=約20倍ってことになります(端数切捨て)。

具体例2:マネーフォアード

そしてもうひとつがこちらも会計ソフトなどで有名なマネーフォアード。家計簿アプリも人気ですよね。2017年9月29日に東証マザーズ市場に上場し、freeeより一足先に上場しています。

とはいえ実はマネーフォアードも赤字上場。公開価格での時価総額が約283億円で上場前の2017年11月期の売上高は約15億4,000万円となっています(端数切捨て)。

これを計算すると、約283億円÷約15億円=約18倍ってことになり、マネーフォアードのほうがこの時点では割安だったってことがわかりますね。

PSR分析をマスターしよう!

今回は赤字上場した企業の分析に役立つPSR分析について詳しくご紹介してきました。

赤字って聞くと尻込みしちゃいそうだけど、実際は将来性が高かったり、人気の企業だったりすることも多いもの。買っていいのかどうか、どれを買うべきかなど悩んだとき、PSR分析が参考になるはずです。

これなら赤字上場してるベンチャー企業の株も簡単に分析可能なので、まずはPSR分析を使って見比べてみてくださいね。